アップ日 09年5月2日
原稿用紙換算枚数 16枚
樹くんから見た海棠さん。
再会してからキスで我慢できてたおじさんは、強引は強引でもまぁそれなりに頼りになる大人を演じていたのではないかと。
樹くんの性格とかをじっくりと観察してたのかな。
で、まぁ、押しに弱いってあたりを熟知。
後はきっかけだけを待ってたような。
中年ともなると性的欲求は減退気味なはずですが、こと樹くんに関しては元気いっぱいなおじさんでした。
元凶の佐々木君は、高見の見物ですね。桜さんに関する以外は結構頼りになるのかお茶目なのかよくわからん性格ではあります。
原稿用紙換算枚数 10枚
おじさん視点の樹くんです。
年甲斐もなく、少年にメロメロになっててどうしましょうって感じですが。
独身貴族ですからね~、精神的には若いところもあるのかも。未熟ってわけでもないですが、気に入ったものを手元に置くのに躊躇するタイプではありませんね。
まぁ、現実じゃぁ、青少年育成保護条例とかに引っかかりますが。間違いなく犯罪だよ。
樹くんに対しては暴走戦車なみの破壊力を持つはた迷惑な中年です。
それだけの話かな。
原稿用紙換算枚数 21枚
やっと名前が出揃いました。佐々木君は佐々木君のままですが。
入江樹―――――高校二年
海棠矢寿馬―――40代
天羽桜―――――樹くんより2歳上
戸倉出水――――桜さんより3つくらい上かな(決まってない)
5ヶ月かけて樹くんを探してた矢寿馬さんを書きたかっただけででっち上げた1本。おそらく樹くんは、名器だと思われます。でないと探さんでしょう。
おねーさんと出水さんの出てるドラマは、言うまでもなく某有名時代劇ですね。最初はもう時代劇そのままにしてたのですが、やばいかなぁと弄ってみたんです。が、駄目でした。玉砕。中途半端な変換ですね。
この後、あまりおねーさんたちは出番ないんですけどね。名前だけとか出る可能性はあるので。
少しだけコメディタッチにできたかな。
原稿用紙換算枚数 14枚
入江君の受難な話の始まり。
この時点じゃまだ責めの名前も出ていないという。
名前とか年齢とか出すのが下手ですね~。自覚はあるのよ。
受けの名前も、まだ苗字のみ。
佐々木君が出張ってます。
真山センセもこの時点から名前だけは出てるのでした。が、まさかああいう暴挙に出るとは、実は考えてなかったのでした。
シリーズタイトル、You asked for it. 通り、自業自得な話。
コメディ目指して玉砕中。
原稿用紙換算枚数 38枚
世界は『残酷な神が支配する』の設定で。
京君とも秋人君とも面識のない如月譲くんが主人公です。
あの世界には、世界から外れた存在がいるという設定なのですが、世界自体龍が支配してるようなものですので、わざわざモンスター設定にする必要もなく。12の侯爵たちの血を引きながら人中で暮らすことができないはぐれた者たちの小さな居留地って感じでしょうか。王の血を引いてるものもいる可能性はあります。
そこまで突っ込むと不必要に長くなるので、平易な感じで。
リュウくんには、勝ち目はないです。年下攻めも結構好物なのですが、思い通りには書けません。
アレイスは、まぁ、るう子が書くお約束な責めってことで、ひとつご容赦を。受けにメロメロ溺れてるんだけど、プライドが邪魔して溺愛しきれない。そういうタイプではあります。
少しでもお気に召してくだされば嬉しいです。
原稿用紙換算枚数 21枚
ありがちの山賊風鬼族もの。
大江山の鬼――っぽく決めてみたかった。
主人公に執着するのが鬼の頭領(BLお約束ね)なだけに、主人公が必死で逃がそうとする乳兄弟の姫様が悲惨な目に。
とりあえず、桜の印象と、血の色のコントラストでむつごい感じに。
桜が降る下では、屍が累々と。
血がながれてむせ返るほどで。
狂ってしまった主人公が、息絶えてしまっても、桜はただ降りしきっておりました。それだけ。
雰囲気重視の話だったのだなぁと、ここまで書いて気づいた次第。鈍いxx
更新日 2008/02/11
原稿用紙換算枚数 11P
ベタといえばベタな話です。
殺し屋の仕事風景を見てしまったせいで日常生活から拉致される少年の話。
いつものごとく、何でこの殺し屋が少年を気に入ったのかは、記述しておりません。
基本、一目ぼれとか、体の相性とか、そういう理由だと思われます。
世界でもトップクラスの殺し屋となると、倫理観はほぼ皆無ではないかと。羊の群に混じってるときに装うことは出来ますが、プライベートになれば、ほぼ壊滅ではないかな。と、予想。
でもって、拉致陵辱は、一応JUNE物としては王道の展開ですが。
それだけでは飽き足らず、逃げられないように足の腱を切断してしまうあたりが、鬼畜の現われです。
常々肉体改造は嫌い~~~と、主張している割には、あっさりと書いてしまいましたが、あくまで腱を切断されただけで、足首から先を断たれたとかっていうわけではないので、るう子的にはぎりぎりオッケーかな。
この先の、主人公の運命が可哀想な1本です。
『GAME』
更新日 2009/03/21
原稿用紙換算枚数 33P
『悪夢』の救済話のつもりな1本。
当初はあくまでも救済話を目論んでいたものが、いつの間にやら、泥沼化。
10P程度のSSで書いていたものを少々長めにリメイクしたもの。
これでも当初のSSよりはマシな話になったらしい。
最初は、記憶喪失で殺す殺される――というところだけを書いていたので。
肉付けしたのですこしは救済っぽくなったのではないかと。
ふたりが少しは馴れ合っているので、その分殺伐感は相殺されたかな。
問題は、書いている間、『ツーリングEXP.』という少女マンガが頭の中を過ぎったこと。もっとも、主役の片割れではなくMr.カーディフのほうでしたが。
頭を抱えつつも、どうにか書上げることができました。
とりあえず、殺し屋は、主人公にめろめろということで。
一番の問題点は両方とも、殺し屋の名前が出てこないということかな。
「忙しそうですね」
かけられたことばに、全身が震えた。
◆◆◇◆◆
「いやだっ」
どんなに藻掻こうと、大人の力にはかなわなかった。
「たすけてっ!」
どれほど叫ぼうとも、誰一人助けてくれる人は現われなかった。
「かみさまっ!」
救済者だという、神ですら、顔を背け、耳を塞いでいるのにちがいなかった。
あんなにも、祈りつづけたのに、日曜ごとの教会を休んだことなどなかったのに。
「だれか」
かすれる声が罅割れて、やがてすすりあげるしかできなくなっても、ただ痛みだけが、ぼくを唾棄したい現実に縫いとめていた。
◆◆◇◆◆
母が新たな結婚をして、ぼくは大きな屋敷のお坊ちゃまになった。
ぼくが九つになったばかりの初夏のことだ。
食べるものにも寝るところにも困らない、幸せな毎日。
新しい父はやさしい紳士で、ぼくと六つ違いの妹は、彼が大好きになっていた。
毎日は、紅茶とミルク、焼きたての菓子や薔薇の花のにおいであふれた。
けれど、すべては、まやかしでしかない。そう思えてならなかった。
なぜなら。
それは、ほんの少し前には当然のように目の前に差し出されていた、あたりまえのものだった。だけど、一度与えておいて、運命は、すべてを奪い去ったのだ。
母が新しい父と結婚する二年ほど年前のことだった。
それは暦が次の一年へと変わろうという時。貿易商をしていた父の船が嵐で全滅し、大好きだった兄も父も、船や荷物と一緒に帰らぬひとになってしまった。そうして、母とぼくと妹とは、住むところすら失ってしまったのだ。
母は母国を捨て一族を捨てて父と駆け落ち同然に結婚したため、この国には頼れるあてもなかった。
生まれてこのかた働いたことのない贅沢に親しんだ母やぼくには、どうすれば生きてゆけるのかも、霧の向こうのことのようだった。
寒さと空腹、絶望だけが、ぼくたちのすべてだった。
母が町の女に身を落とすまで、どれほどもかからなかった。
冬の最中で、寒かった。
なによりも、ひもじくてならなくて。
あてどもなく町を彷徨っていたから、すぐに男たちに袖を引かれてしまったのだ。
最初の数日は、母もきっぱりと断りつづけた。いろんな、女でもできる仕事についた。厭いさえしなければ、ささやかな食事にありつける仕事はあったのだ。ぼくも、母と一緒に掃除や洗濯水汲み皿洗いなどの下手間をした。けれど、些細な失敗を繰り返して、首になる。その繰り返しだったのだ。
その日は銅貨すらもらえず首になった。だから、母は袖をひく男たちに逆らえなかったのだ。
それほどまでに、母もぼくも、そうして妹も、寒くて寒くて餓えていたのだ。
母の絶望に投げ与えられた代価で、母とぼくと妹とは、下町の路地の裏、今にも倒れそうな木造の安宿に泊まることができた。
そうして、母は、夜の町に立つようになった。
金の薔薇と謳われるほどに美しかった母は一気に老け込んだ。艶々としていた金髪は、灰色に色褪せ、安いジンに耽溺した。その代価は、最初母の代価よりもはるかに安いものだった。しかし、母がやつれてゆくほどに、酒代のほうが高くなっていった。そうして、一日働いてもジンを買えるだけの金にならなくなったころ、母はぼくを、いくばくかの代価と引き換えに、上流の男たちのおもちゃとして貸し与えたのだ。
泣きたかった、叫びたかった。
死んでしまいそうなくらい、怖くてならなかった。
けれど、そこへと迎えにくる馬車に乗らなければ、母と三人で、冬を越せずに野垂れ死んでいたにちがいない。
ひもじいのも、寒いのも、辛い。それに、何度も想像したその果ての死は、男たちの残酷な遊びに参加させられることよりも恐ろしくてならなかった。
だから、我慢したのだ。ぼくが男たちの秘密の社交場で彼らのおもちゃになっていれば、ぼくたちは、少なくとも餓えることはない。
最低な日々をやっとのことで生き延びていたぼくたちに救済の手を差し延べてくれたのは、母の従兄弟になるというひとだった。
父の訃報を遠い異国の地で知り、あわてて駆けつけたときには、屋敷は既に人手に渡り、そうして、母とぼくの行方は知れなくなっていた。
数ヶ月の間方々探したと、そう言って母とぼくと妹とを抱きしめてくれたのは、どこか美しかったころの母に似た、蜂蜜色の髪の男性だった。
そうして、ぼくたちは、母の従兄弟に連れられて、海をわたり、山を越えた。
母のふるさとは、広大な大地に寒暖差の厳しい気候の国だった。
見晴るかす限りのオレンジ畑の中にぽつんと建つ、白い城。それが、母の生まれた家だった。母の両親は既に身罷(みまか)り、母の祖母だという高齢の女性一人が城に暮らしていた。
母はこの国の貴族の出で、富裕だが平民の父とは、生まれも育ちも、何もかもが違っていた。それでも、ふたりが本当に愛しあっていたのを、ぼくは、おぼえている。
一月も経つころには、母は以前の美しさを取り戻していた。
母とぼくたちをあたたかく迎えてくれた母の祖母の提案で、父と兄の喪が明けるのを待って――ぼくたちの地獄のような日々は、父と兄の死から、ほんの数ヶ月しかたっていなかった間のできごとにすぎなかったのだ。――、母は従兄弟と結婚した。
それを見届けると曾祖母は満足したのか、ほどなくして神の身元に召されていった。
曾祖母の死から一月後、ぼくたちは家族四人でこの国の都へと移動した。
領地は管財人にまかせ、都にある屋敷のほうへと、引っ越したのだ。
そこでの母は、水を得た魚のように生き生きと楽しそうだった。
毎日の夜会、我が家で催すパーティー。木々にぶら下げられた、異国のランタンに灯されたたくさんの明かりの下を、着飾った男女がさんざめき、オーケストラが奏でる音楽にあわせてダンスに興じる。時折り、大きな音とともに花火が夜空で爆ぜて、きらきらと火の粉を撒き散らす。
もちろん、こどもは参加できない。けれど、差し入れしてくれるご馳走やデザートは楽しみだった。それに、こっそりと部屋からのぞき見たりすることはできた。だから、妹とふたり、バルコニーまで出て眺めた。
風にのって届く、花や香水、食べ物の匂い。
幸せだった。
まだ、過去の悪夢に魘されることはあったけれど、それでもいつしか、あの地獄の日々は単なる悪夢に過ぎなかったのだと、記憶の底に沈んでいったのだ。
それは、母にしてもおなじだったのにちがいない。
幸せを当然と、あたりまえの日常と感じるようになった心の隙に魔がさした。
そういうことだったに違いない。
突然のスキャンダルだった。
貴族の夫婦に愛人がいても、それは、公然の秘密でしかない。しかし、愛人と駆け落ちしてしまっては、しゃれにならないということだ。
母に愛人がいたことを、ぼくは知らなかった。だから、青褪めた義父に詰め寄られ問い詰められても、答えられるはずがなかった。
義父が母を愛していたことは知っていた。
義父と母とがもともと婚約者だったということも、領地の城の使用人達がささやきあっていたことを耳に入れて知っていた。
それでも、ぼくは、母に愛人がいることすら知らなかったのだ。
母は、その生涯で、二度、自分を熱愛する婚約者を裏切ったことになる。
飛び出していった義父がひとりぎりで帰ってきたのは、その三日後だった。
やつれ、血の気の失せた義父の顔の中、爛々と光る一対の目が、妹と一緒に彼を出迎えたぼくに向けられた。
その視線。
ぞっと、背筋を駆け抜けたのは、記憶の底から這い上がろうとする、封印したはずの悪い記憶だった。
頭を振って打ち消したぼくの前を、義父はよろめきながら通り過ぎた。
そうして、ぼくは、悪夢がよみがえるのを、体験した。
◆◆◇◆◆
逃げるようにして領地の城に戻った最初の夜だった。
アルコールのにおいに、目が覚めた。
カーテンの隙間から差し込む月の光に、自分の上にのしかかっている影が、まぎれもない義父なのだと、思い知る。
出迎えた時とおなじ、爛々と光る目が、ぼくに向けられていた。
アルコールのにおいの混じる荒い息が、顔にかかる。
逃げようと、本能的に身じろいだ瞬間、夜着を引き裂かれた。
怖かった。
疾うに捨ててしまった神の名に縋りつくほどに。
悲鳴も凍りつくほど怖くてならなくて。
封印した過去が、男たちにおもちゃにされた、おぞましい記憶が、全身を呪縛していた。
母の残したツケだと、義父は、言った。
ツケを払うのは、息子のおまえしかいないと。
逃げたぼくを捕まえて、もみくちゃにしながら、狂った男の声が、言う。
この次おまえが逃げれば、妹をおまえの代わりにしようか―――と、憎々しげに、楽しげに、歌うようにさえ、ささやいた。
疾うに打ち捨てた神の御使い(みつかい)――天使のように愛らしい妹が、まるで当然だというかのように、ぼくの枷となった。
どうすればいいのかわからなかった。
夜毎訪れる義父に抱かれ、ぼくは、泣くすべすら忘れていた。
そうして、ぼくを慕ってくる無邪気な妹を憎んでしまいそうな自分に気づいた。
妹さえいなければ。
母に似た金の巻き毛の妹が、母とおなじ褐色の瞳で笑いかけてくる。
妹を残して、逃げられるはずもない。
ならば。
それは、咄嗟の衝動だった。
ひとりで逃げられないのなら、ふたりで逃げればいい。
捕まるかもしれない。そんな考えなど、微塵も浮かんではこなかった。
逃げた後のことも、なにも考えられなかった。
ただ、逃げよう、妹と一緒に逃げればいい――その考えだけに魅せられていたのだ。
ぼくは、新月の夜を待った。
義父に抱かれながら、狂った呪いをささやきかけられながら、ただ、闇を待ち焦がれていた。
義父が訪れるのは、深夜、家人がすべて寝静まった後のこと。
だから、その前に家を出なければならない。早すぎると、すぐに見つかってしまう。
けれど、今日はさいわいなことに、来訪者があった。
義父よりも歳若い、黒い髪と黒い瞳の、どこかエキゾチックな美貌の青年は、数日間館に滞在する予定らしい。
義父がやけに青年に対して丁寧な態度をとるのが目の端に映っていたが、そんなことはどうでもよかった。
とにかく、この機会を逃しては、次はないかもしれない。そんな不安が強かった。
じりじりと、夕飯が終わるのを待った。
長かった晩餐がやっと終わって、部屋に戻れるとそっと溜息をついた時、突然義父が、バイオリンを弾くようにと命じてきた。
ひとに聞かせるほどの腕ではない。しかし、義父の瞳には、拒否を許さないきつい色が宿っていた。それは、夜毎に向けられる瞳とは違っていたが、怖いことに変わりはない。ぼくは、移動した遊戯室で、習ったばかりのセレナーデを数曲披露することになったのだ。
楽器にはよく弾くひとの心が現われますからね――と、家庭教師に言われていたことを思い出し、数度の深呼吸を繰り返した。静かに、内心の焦りが表れないように弓を弦にすべらせる。
青年が自分を見ているのは感じていた。
けれど、まさか、弾き終えお辞儀をした後で、真直ぐに見つめられるとは思ってもいなかった。
漆黒のまなざしが、ただ静かに、ぼくを見ていた。
なにもかもを見透かすような、心の奥底にまで突き刺さるかのような、不思議な目。
しかし、それは、ほんの数瞬の間のことに過ぎず、義父に話しかけられて、すぐに逸れた。
だから、ぼくはそれをすぐに忘れてしまった。
なにより、これで、やっと、ここから出てゆける――早く逃げなければという思いのほうが強かったのだ。
三階の部屋にもどって、着がえた。
動きやすい外出着と、夜は冷えるので暖かくて軽いジャケットを重ね着する。
こっそりと、部屋を出て、屋根裏部屋に忍び込む。母の持ち物が無造作にそこに運び込まれたのをぼくは知っていた。あまりの辛さや切なさに母が恋しくてならなくて、何か母をしのべるものはないかと求めて何度も忍び込んだから、どこに何が置かれているのか知っている。
母が残していった宝石箱の中の指輪やネックレス、ブローチやイヤリング、ブレスレット、きらきらと光るたくさんの宝石類をできるだけジャケットとズボンのポケットに移し込んだ。
いけないことだと思ったけれど、どうせ、誰も助けてはくれないのだ。
自分でどうにかしなければならないのだから、母の残していったものをもらうくらい、誰にだかわからないけれど、多めに見て欲しかった。
それに、これだけたくさんの宝石があれば、悪夢のようなひもじく辛い現実をもう一度味わいはしなくてもすむのじゃないかと、そう考えた。
そうして、ふと、目を惹かれたのは、壁際に置かれたライティング・ビューローの上に出しっぱなしになっている、銀の持ち手に象牙の刃のペーパーナイフだった。銀の持ち手には、小さな宝石が花を描くように配されている。
深く考えたわけではない。
ただ、これも持ってゆこうと、上着のポケットに入れたのにすぎない。
ひもじいのも寒いのも辛いのも、もう、あんな目にあうのは、厭なのだ。 もういいだろうと、もう一度三階に戻ったぼくは、ぐずる妹をベッドから引きずり出し、着換えさせた。
屋敷を抜け出し、振り返った。
新月の闇の中、黒々と沈む広い城が覆いかぶさるかのように見える。
気づかれたような気配はない。
今のうちに。
いやだとぐずる妹の手を引っ張りながら、足を速めた。
そうして、やっと、門にたどり着いた。
門番も眠っているのか、誰もいない。
もういいんだ。
もう、あんなことをされて我慢していなくても、いい。
妹を枷だと憎まなくてもすむ。
涙が出てきた。
嬉しかった。
これから先の不安があったけれど、でも、悪夢から逃れられたのだと思えば、思いはひとしおだったのだ。
月がないと、時間もわからない。
都とは違ってガス灯も人気もない。どこまでも続くオレンジ畑の中をぼくは、あてどもなくただ闇雲に歩いた。
今何時だろうと思っても、時計にまでは気が回らなかったから、持って出てはいなかった。
どれくらい歩いただろう。
足の裏が熱をもって痛い。
妹は疾うに歩くのを嫌がったので、背負った。すっかり太ってしまった妹の重さが、ずっしりとのしかかってくる。それでも、後悔だけはなかった。
足が痛くて歩き難いけれど、義父が部屋にくる時間になるまで、できるだけ遠くに逃げていなければならない。
気が急いてならなかったが、逆に、足が動かない。
限界がきているらしかった。
どれくらい歩けばいいのだろう。
田舎の領地の広大さを、ぼくは少しもわかってはいなかったのだ。
それでも。
この広さはぼくにとってと同じくらい、義父にとっても、ぼくたちを見つけるための障害になるのにちがいない。
そう思った。
頑張ろう。
自分で自分を励ました。
けれど、足がいうことをきこうとはしない。
やすみたいと、悲鳴をあげていた。
いいかな。
いいかな。
もう、いいよね。
地面に妹をそっと下ろし、ぼくもその場に足を伸ばした。
オレンジの茂みに腰を下ろす。
足の裏が、ジンジンと疼く。
足は棒のようだ。
腰も、手も、もう、動かせない。
そう思った。
いつの間にか居眠りをしていたらしい。
がくんと首が振れて、目が覚めた。
一瞬どこにいるのかわからなかったけれど、すぐに思い出した。
もう行こう。
そう思って妹を起こそうとした。
その時だった。
聞こえたのは、こんな夜遅くにはふさわしくない、馬の蹄鉄が大地を蹴る音。
馬を急かせて駆けぬけてゆこうとする、なにものか。
逃げないと。
隠れよう。
動こうとはしない足を必死で持ち上げた。
ぼくは自分のことに必死で、妹の存在を忘れていた。
「ビアーンカ!」
「ミケーレ!」
名を呼ぶ声を聞いて身を縮めたぼくとは違い、妹は嬉々として返事をしたのだ。
◆◆◇◆◆
熱病患者のようなぎらぎらとしたまなざしが、ぼくを絶望へと突き落とす。
妹は、ここ――父の部屋にはいない。もう、眠ってしまったことだろう。
悪い子だ――と、義父がかすれた声でささやいた。
もうだめだと、一歩下がった足が、ソファの足につまづき、ぼくは、後ろざまに倒れた。
立ち上がろうとして、ふと、何かが手に触れた。
転がったはずみで、ポケットに入れたままで忘れていた母のアクセサリーと一緒に、ペーパーナイフが落ちたらしかった。
「母親の形見とはいえ、盗んだんだね。悪い子だ」
義父のそのことばに、あの夜の父の目が脳裏を過ぎった。
母を追って行った義父が帰ってきたあの夜の、彼の目だ。
母の死を――母を殺したのが彼なのだと、ぼくは直感していた。
全身に冷水をかけられたような寒気が、ぼくに襲い掛かる。
「悪い子にはお仕置きが必要だ。わかっているな」
義父が近づいて来る。
ぼくは、それを、握りしめ、隠した。
気がついた時、足元は血の海だった。
宝石の散らばる血の海に突っ伏しているのは、まぎれもない義父。
義父を認めて脳裏によみがえったのは、のしかかってきた義父の重み。胸元をはだけられ、這わされたくちびるのぞっとするようなぬめり。それに弾かれるように、ぼくはナイフを振り上げ、そうして振り下ろしたのだ。刹那の、ぞっと全身が粟立つような感触が、まざまざとよみがえる。
憎くて。
どうしようもなく怖くて。
義父が息を吹き返してまた襲ってくるのではないかと、振りかぶっては突き立てた。
疾うに死んでいるというのに―――
何度も何度も。
血飛沫が、ぼくの全身をしとどに濡らしても、ぼくは、やめることができなかった。
「忙しそうですね」
突然かけられたことばに、全身が震えた。
恐る恐る振り向いたぼくの目の前で、平然と、なんら変わったことなど起きてはいないのだとでも言うかのように、笑いさえにじませて、そのひとは、
「手伝いましょうか?」
と、そう言ったのだ。
END
up 21:26 2009 06 05
アップ日 2009年3月2日
一応西洋ファンタジー風なのですが、すみません、これ、元々某時代劇がベースなんです。筋立てを一時間時代劇風で書いたらどうなるか――とちょっとしたお遊びで書いたのが元です。ですから、西洋物では出てくるはずのないお試し御用とか、名称が苦しい役職とかあります。ご容赦ください。
少しでも楽しんでいただけると嬉しいのですが。
微妙ですね。
アップ日 2009年2月6日
『残酷な神が支配する』の続編ですが、京くんも王さまも絡みません。
京くんの親友、矢野秋人くんが主役の話です。お相手が突然フランス風の名前になっちゃいましたね。これは、いくらなんでも名前がないわけにはいかないだろうということで。
雰囲気が壊れてないといいのですが。
う~む。結構ありがちな異世界物になったかも。でも、考えてみると、がんばってがんばって、元の木阿弥ってパターンは異世界物じゃあまりないかも。
所詮、へたれ受けだもんね。
しかも、矢野君、少々危ないです。
ま、あそこまで追い詰められたらあんな感じでもおかしくないか。
京くんが、秘密の存在だから、どうしても、矢野君が京くんと接触する機会がないのだよね。でも、どう考えても、王さまたちが矢野君を連れて帰るとは思えないので。矢野君に興味があるわけではないので、放置じゃないかと。だから、あんな感じで巻き添えになるって云うのがありえそうな気がしたのですよね。
少しでも楽しんでいただけるといいのですが。
記事表示
原稿用紙換算枚数 62P(一括で)
アップ日 2009年1月30日~2009年2月14日
“Strange of Stranger” に登場した 一条要一くんと、秋津卓弥くんの話です。
“Professor ” (10p 090130)
大学客員教授の一条君と、高校生の秋津くんの関係。
第三者視点です。
『おともだち』
1 (7p 090201) ふたりの馴れ初め
2 (9p 090203) 仲良し
3 (9p 090206) お別れ
『再会』 (10p 090210)
『おともだち』の3から5年後のお話。
『待ち人』 (7p 090213)
一条君のアプローチが始まります。
『プロフェッサーにはかなわない』 10p 090214
一条君のアプローチは実ったようです。
第三者視点。
原稿用紙換算枚数 23枚
刑事なラルフくんとその筋のナンバーワンなリチャードさんのお話。
るう子にしては、明るめなテンポの話ではないのかと思われます。
ガタイがいい受けというのは、結構、好みなんですが。
美形は、攻め――なんですね~vv
運動能力はいいのに怪我して療養中なために抵抗もそこそこというラルフくんが、不憫ですが。
るう子が書くと、その筋っていっても、甘々設定になります。あまりハードにその世界を書きたいわけじゃないので、ほどほどに――う~ん。言い訳言い訳。
少しでも楽しいと思ってくだされば、嬉しいです。
原稿用紙換算枚数 15枚
姫宮和佐君の頓狂な格好を夢の中で見たのが書き始めるきっかけでした。
あの格好で出てきて、攻めです――と、自己紹介してくれたのですね。
そ、そうか、その格好で攻めなのね~と、妄想をたくましくしたら、ああなったという。
姫宮君は美人さんですが、どじでのろまです。それでも、かれの片割れ(もしくは二重人格)は、男らしい感じでしょうか。どこか履き違えておりますが。
高野君は、珍しくからだから引きずられてしまうタイプのようです。
多分、ハッピーエンドって云うことで。
原稿用紙換算枚数 32枚
今更ですが、人外物好きなんですよ。すみません。
えと、これは、明るい話です。うん。
『絵姿女房』と『~の恩返し』をミックスしてハッピーエンドに仕立てた感じですかね。『絵姿~』は元々がハッピーエンドですけどね。
『絵姿女房』というのは、たしか、この話を妄想したとき頭にあったんですよ。うん。
最近某サイトで『まんが日本昔ばなし』にすっころんでいて、そういえば、あんな話書いたっけと、思い出してアップでした。
相変わらず名前付けるのが下手なので、めちゃくちゃですが。
狐に蓮――って。白蓮狐とかあったなぁと思ったのですが。ありましたよね? 別の名前だった気もしますが。なんか、蓮って名前についてたのがいたはずです。
隣のおじさんの名前は、穏当かなとか思ったり。
でも、主人公の本名………ありかなぁ? 隼人とくるとどうも九州系列の名前だよなぁとか思ったりしてなんか思い切りがつかなかったんですが。そこまで考えなくてもいいよねっ? ねっ? だいたいそこ拘るより先に拘るところありそうだし。
雨滝城っつうのは、うちの近所の城址の名前。
竜王でもよかったんですが、強すぎなので、やめに。かといって、昼寝城(昼寝城址ってあるんですよねぇ)というのは、字面と響きがどうも。ぼつ。まいっかと、近所の城跡の名前を。
で、雨滝だから、水っぽいので、姓は東雲に。
お狐さんは水神様系列でしたっけ?
白さんが、土でしたっけ。いや、金だよね。で、黒さんが、水でしたっけねぇ。あやふやですが。そんな感じでvv 何のねたかっていうと、風水ですね。
お狐さんは、豊作の神様とかでもありますが、男を惑わして心臓を食べちゃうという怖いダキニ天のお使いでもあるわけで。う~ん。だから、アレくらいの力があってもオッケーでしょう。って、なんか、変な思考経路ですな。相変わらずxx いらん方面に脱線して話を書くのも、どうかと思いますが。脱線したネタが話に少しもかかわらないのもどうかとxx
原稿用紙換算枚数 30枚
『神霊』のその後です。
相変わらず不幸体質の主人公です。
郁人くんは、まさに、生贄です。
で、このままでは跡継ぎが~と焦った母さまの暴挙が、ああいう結果を招いたのでした。
母さま、焦りすぎです。
女の子に押し倒される郁人くんは、情けないですが。多分、女の子とどうにかなる、なれる、なんて、今の自分を顧みたらありえないと自覚してるんですよね。その後自分がどうなるかを考えると必死で抵抗するしかありません。一応健康な青少年だから、あんなことされたら、ねぇ、反応せずにはいられないです。けど、ぐるぐる考えながらも、まゆみさんを説得しようとするあたり、郁人くんは、いい子だと思うんですよね。――すっかり、苦労人になっちゃってるかも。
でもって、ひとり勝ちな、“あいつ”。
しっかり、郁人くんを囲い込むことに成功したようです。
少しは、郁人くんに優しくしてあげなさいね~と、他人事のように考えてしまうるう子なのでした。
原稿用紙換算枚数 36枚
虎つながりですかね。
2008年最後の話です。
門と鍵というベタな設定が頭に湧いたせいで捏造した1本。
へたれ受けです。
途中で、虎のほうに感情移入して、必死でもとの話に軌道修正をかけた記憶があります。
虎が、成氏に憑依して、成氏が異世界に送られるっていうようなラストだったんですが。
あと、成氏が実は年下で~というので最初は書きはじめてたんですが。どうも気に入らないし必然性も何もないし――で、やめたんですね。結局おじさま攻めで。
結構お気に入りです。
原稿用紙換算枚数 16枚
古い時代の中国の怪異収拾譚に『不知語』だか『知不語』だかいうのがありまして。語るを知らず――とかって云う意味だった気がしますが。そのなかの1話に、虎の妖にたぶらかされて喰われてく道士の話というのがありまして。うん。
それで、出来上がった一本だったりします。
るう子の好きな、へたれ受けです。
やっぱ、受ける側はこれくらい嫌がってくれないと面白くないです。
え? え? え? とか思ってる間に、いやだ~! と、抜き差しならなくなるというのが、好きですね。やっぱり。
当人はほんっとうに嫌がってるんだけど、必死に逃げてるんだけど、あれ? なんで? っていうくらい、へたれなのが、可愛いです。可哀想とも言いますが。
でもって、襲う側は、いっそ執着というくらい粘着気質でvv 危ないなぁ。
原稿用紙換算枚数 90枚
続編も付け足そうと考えつつ、結構手を入れなければならない箇所を発見して頓挫中の一本。
もっとも、今あるだけでも、話としては成立してると思われますが。どうなんだろ?
プロローグのほうの『エリクシルベジタル』が、実は一番最後に出来上がっていたりして。
一本の話の中に三組の同性カップルってどうだろうと、ロジャーたちを男女で逆転カップルに手を入れたほうがよかろうかと悩んだのですが。それもあざといかと、元のまま。
この話、誰が主人公なんでしょうね。
実は、るう子にも謎だったりします。
タイトルからすると、やっぱ、ホムンクルスとその関係者かなぁ。でも、出ずっぱり度から考えると――秋津君と一条君になりそうだし。
続編は、ホムンクルスがメインだったりするので、やっぱホムンクルスたちが主人公でしょうか?
原稿用紙換算枚数 12枚
かぐや姫の月で犯した罪ってなんだったんだろう?
この疑問をつらつらと頭の中で転がしていて出来上がった1本。
個人的には、月の帝の求愛を断ったのじゃないかなと思ったりしてるのですが。別に好きな相手がいたんですよきっとね。断り方によっては一応、罪になるのではないかと。
名前を考える気力がなかったので、原作のままの名前をひらがなにして使用したという極道さです。
で、まぁ、最初頭の中にあったのは、さかきのみやつこ君がかぐやさんの位置設定で、かぐやさんが、月の帝ってあたりの予定だったのですが。
どうも面白みがないなぁと。
で、ふと、かぐやさんが中年のというか40台くらいの男のひとだったらどうだろう。と、思っちゃったのが運のつき。
地上のほうの帝の存在も求婚者も総て消えてしまったのでした。
で、まぁ、かぐや姫の一番の売りというわけでもありませんが、2ヶ月で赤ん坊から成人しちゃったというのがありますから。そこを押し出して、びっくりしてるさかきのみやつこ君からはじめちゃおうとプロット立て(頭の中で考えるだけですが)たら、するるといっちゃったのですね。
そうして、原作だったら、不老不死の薬(さかきのみやつこだったっけ?)を帝にあげるんだけど、かぐや姫のいないこの世界で不老不死になってもなにが面白いとか何とかで、薬を山の頂で焼いたら、そこが富士山になりましたって言うのもあります。けど、このかぐやさんは、そんな殊勝なひとじゃなかったので、無理やりさかきのみやつこ君を眠らせて、あまつさえ、コールド睡眠の装置にはめちゃったと。で、他人に取られると嫌なので、周りに毒を発散させる仕掛けを作っちゃったものですから、殺生石みたいな物になってしまったのでしたというオチで。あまつさえ、かぐやさんの謀反が失敗したら、どうなるんだろう――という不安なところで終わることになっちゃったのでした。
原稿用紙換算枚数 9枚
これも、ジュネ物としては微妙かもしれない1本。
かなり説明不足な箇所とか破綻気味な場所があるような。
ひんやりぞくり――を目指して、少々スプラッタ気味。
ゴシック的なうそ寒さを目指して、成功したのか失敗したのか。
アップ日 2008年10月11日
原稿用紙換算枚数 55枚
むかしむかし、『漫画日本昔話』の同じタイトルのラストがどうしても気に入らなかったので、ハッピーエンドに直したいと書き出した話。
理由が理由だったため最初は男女物で書きはじめたものの、どうしても筆が途中で止まるため放置状態にしていたら、ワープロが壊れ、フロッピーの読み取りが出来なくなったという。
それ以降、相変わらず放置状態だったものの、ふと男同士にしたらどうだろうと思いついたら、筆が進んで書上げることができた1本。
ストーリー展開は、最初書いてたものとは違ってます。
基本、るう子は、ゲイな受けというのが書けないため、苦肉の策で、生まれたときから女の子として育てられてたという男の子にしてみたのでした。
原稿用紙換算枚数 18枚
カエルと虫の鳴き声が頭の中にわいてできた1本。
ジュネといっていいのかどうか。
下克上でもなし。
かろうじて、主従物か。
しかし、色っぽさは、皆無。
色んな理由も、登場人物の名前も皆無。
ただただ雰囲気だけの話。
原稿用紙換算枚数 14枚
コメディを目指して、微妙にシリアスか。シリアスなんだけど微妙にコミカルか。
やっぱり、微妙な話。
西条八十さんの『毬と殿さま』という童謡から思いついたもの。
毬が殿さまの籠に飛び乗っちゃって、そのまま殿さまのお国につれてかれて山のみかんになったっていう歌ですが。
あからさますぎて逆にそういう裏はありえないだろうというのは重々承知の上で、あえて、妄想。
主人公がへたれなのは、へたれ受けが好きだから仕方ありません。
これは、ほだされ受けでもあるので、攻めが珍しくも幸せかなという一本ですね。
原稿用紙換算枚数 119枚
珍しく、100枚越えの話。
結構悩みながら書いたので、いつの間にか、主人公がスライドしてたというていたらく。
魔女狩りは、ねぇ。残酷なんで、実は、苦手なのですが。
頭に最初に浮かんだのが、背中のくぼみに魔女の刻印をつけられた男の子だったのでした。
で、つらつらと弄ってるうちに、火刑に架けられてるシーンが浮かんじゃいまして。それで。
最初は双子じゃなく、兄弟設定だったのですが。
どうせなら双子にしようか――と、こうなったのですね。
話にはさして影響を与えてはいませんが、近親物です。
双子は、王様の子供ですからね。
原稿用紙換算枚数 10枚
元のタイトルは、『業』です。
先生の智紀くんにたいする執着は、もはや、業以外の何物でもないのです。
それに捕らわれて、死から引きずり戻された智紀くんは、不幸以外の何物でもありません。
そういう話です。
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