忍者ブログ
小説の後書きとかいい訳とか。あとは雑記。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 ちょーっとやっぱり気に入らないというかしっくり来ないんですけどね。いらないところというか、書けないだろうところは端折りまくってますしね。書こうとして書けない納得できないところは切ってもいいだろうかって感じですね。趣味だからね、オッケーさvv







 真珠と称えられる王都の影に、刑場はある。

 清浄を際立たせるためには、汚濁が必要とばかりに、瀑布の裏側に、それは存在した。裏見と呼び習わされ、いつしか転じて恨みと呼ばれるようになったその場所こそが、罪人を処刑する場だった。

 羊歯の垂れ下がる天井から滲み滴り落ちる水滴が、水たまりをあちらこちらに作っている。

 ぐるりと柵に囲まれた一段高い位置に硬い岩盤の平地があり、処刑台が据えられている。既に貴賎の別ない物見高いものたちが柵の外側に集まっていた。

 轟々ととどろきわたる水音を術士たちが消しているため、ざわざわとした喧騒と期待や蔑みに満ちた視線が、湿度と冷感と共に、アヴィシャの全身に絡みついてくる。

 王城の地下牢から続く長く険しい階段を降りた先が、ここだった。

 アヴィシャは既視感に囚われる。

 これと似た場所を、幾度か見た記憶があった。

 ゴツゴツとした岩肌に囲まれた空間。

 ああ。

 無表情の裏側で、そうか−−−と、アヴィシャは思い出す。

 混沌の神の御座(みくら)に、ここはとてもよく似ているのだ。
 
 己の愛するものたちが囚われていた場所に−−−。

 いつはてるとも知れぬ長く神子とは名ばかりの贄の日々を愛するものたちが過ごしていたのとよく似た場所で、己は、ほんの一刻にも満たぬ時を過ごせばいいのだ。

 それを苦痛と思うは愚か。

 アヴィシャはゆっくりと目蓋を閉じ、開いた。







 ファリスに抱き抱えられ、トオルはそれを見た。

 震える手が、柵を握りしめる。

 左右からトオルを抱えるファリスとアディルの全身の強張りが痛いくらいだったが、それさえも気にはならなかった。

 声が出れば、叫んでいただろう。

 遠目ではあったが、粗末な生成りの着衣を身に纏った男がアヴィシャだと、わからないわけがない。

 どうして。

 なぜ。

 いつもは綺麗に撫でつけられているアヴィシャの前髪がその端麗な額に乱れかかっている。まるで望遠鏡で見る月のように、とても近くにアヴィシャがいるかのように、そんな些細なことまで見てとることができた。

 誰かが、なにかをがなるように捲し立てている。

 周囲が、やけに大きな声でなにかを喚いている。

 そんな中、一際耳を聾する金属音が轟き渡り、周囲のどよめきがやまる。

 とてつもなく嫌な予感が背筋を這い登り、トオルの心臓を心を乱れさせる。

 その手に凶悪な鋭さを持つ斧を持った男がひとり現れる。

 罅割れかすれた呼気にも似た小さな悲鳴が、喉を痛めつける。

 小刻みな震え、脂汗が、全身をしとどに濡らす。

 アヴィシャを乱暴に木の台に昇らせ、荒々しく寝かせつけ、押さえつける。

 アヴィ!

 声にはならない悲鳴が、やはり空気を掻き毟る。

 どうして。

 なぜ。

 どうして。

 どうして。

 どうして。

 見たくない。

 けれど。

 見たくない。

 でも………。

 あそこにいるアヴィシャに、駆け寄りたい。

 この頼りない身体で覆い被されば、少しでも彼を助けることができるだろうか。

 この柵が、邪魔になる。

 アディルとファリスがいなければ立つことさえままならないこの身が、疎ましかった。

 振りかぶられる斧の残酷な軌跡を、トオルは見たと思った。







 誰か!

 誰でもいい!

 惑乱する心の底から、トオルは願った。

 なんであろうともかまわない。

 神であろうとも、悪魔であろうとも。

 今更この身が何度目かの死を迎えても、アヴィシャが殺されるよりは遥かにマシだった。

 だから。

 自分をアヴィシャのところに!

 この身が盾になるのなら、喜んで盾になる。

 応−−−と。

 その後なら、かまわない。−−−なにがかまわないのか、わからないままに心から願っていた。

 諾−−−と。

 歓喜の声が脳裏にこだまするのを聞いたような気がした。







 しかし。







「アヴィ………」

 かすれた声が軋むように、倒れ伏す男を呼ぶ。

 突然現れたトオルに、即座に対応できるものはこの場にはいなかった。

 茫然と、ただ、それを、膝に抱え上げる。



 それを。



「アヴィシャ………」

 呼ぶ声に誘われるかのようにゆっくりと。

 酷くゆっくりと。

 膝の上のそれが、目蓋をもたげて、トオルを見た。



 握り潰されるかのような胸の痛みに、ただ、それを、アヴィシャであったものを、抱きかかえる。

 まだ微暖(ほのあたた)かな、熱いほどの血をとめどなく流す、それを。



 けれども、涙は出なかった。



 栗色の眼差しが、とろりと白い膜を帯びたように光をなくしてゆく。

 いつも何かを堪えるように自分を見て、それでいて優しくやわらかに微笑んでくれたアヴィシャという存在が、ただの物体へと変貌を遂げてゆく。その絶望に、トオルは、周囲を見回した。

 誰かは知らない。

 血に染まった斧を手にした男も、アヴィシャを押さえていた男たちも、偉そうにふんぞり帰っている二人の男も、トオルは知らない。

 見知った顔は、アヴィシャの娘だと名乗った少女だけ。

 視線が少女の顔で、ふと、止まる。

 少女の、色調だけがアヴィシャに似た瞳がトオルを捉えて、息を吹き返したかのように光を弾いた。途端、少女は動いた。トオルをそうと見た上で近寄り、見下ろした。

「大公は死んだの。アグリアメタクシの偽物を作らせて売り捌いていたから。そのお金で反逆を企てていたから。だから処刑されたの。わかった? もうあんたをたすけてくれることも、守ってくれることも、ないの。そんな危篤なひとなんて、どこにもいないの。あんたには、今のその格好がお似合い。どうせ、それで哀れみを誘って、大公をたぶらかしたんでしょ。大公はそんなあんたをかわいそうに思って、酔狂で引き取ってくれたのよ!」

 蔑む眼差し。

 嘲る口調。

 馴染んでいたものだった。

 けれど、

「それでも、たとえ同情だろうと酔狂だろうと、かまわなかったんだ」

 そう。

 かすれる声で、トオルは、言い募る。

 アヴィシャと彼に仕えたふたりだけが、この世界でトオルにとってかけがえのない存在だったのだ。


PR
<PBR>
<PBR>
<PBR>
 薄暗い。<PBR>
 窓にかかったブラインド越しの陽光のせいか、部屋の中は薄暗かった。<PBR>
 もしくはそれは、僕自身の心のありようのせいだったのかもしれない。<PBR>
 青みがかった薄暗さの中で、僕は背中に冷たいものを感じながら立ち尽くしていた。<PBR>
 高級ホテルの最上階の一室にある広い応接室の中、まるで会議室のように設え直されたのだろうソファとテーブルの向こう側にずらりと揃っているのは一族の重鎮達だ。彼らの鋭く責めるような視線が僕を射殺さんばかりに凝視してくる。<PBR>
 背中を流れ落ちるのは、間違いなく脂汗だった。<PBR>
 一族の長の息子ではあっても、僕はスペアにすぎず、スペアからすら脱落した出来損ないなのだ。<PBR>
 そんな自分を自覚していたから、僕は逃げたのだ。<PBR>
 逃げたところで、だれひとり困ることはないと、おそらく問題児が消えてくれたと重鎮達はホッとしただろうと思っていたのだが。<PBR>
 それなのに、なぜ。<PBR>
 僕を探すものなどいないだろうと、探すものがいるとすれば、それは彼以外にあり得ないと、そう確信していたというのに。<PBR>
「奏(そう)座りなさい」<PBR>
 父のすぐ下の弟、伯父にあたるマルグリット子爵が溜息をつきながら手で椅子を指し示す。<PBR>
 そのどこか疲れたような表情に、僕の心臓がより一層縮み上がった。<PBR>
 ゆっくりと、重厚感の勝るゴブラン織の座面に座る。<PBR>
 忘れ去られすでに香りの散ったコーヒーに手を伸ばし一気に飲み干す。<PBR>
 乾いていた喉が数時間振りの水分に潤った。<PBR>
「逃げるなら、一生逃げ切れるようにするべきだ」<PBR>
 眉間に刻まれた苦渋の証を指先で揉みほぐしながら、厳しい言葉を紡ぐ。<PBR>
 ああ、変わらない。<PBR>
 あの息苦しかった世界で散々味わったそれは、懐かしさよりも苦しさを思い出させるものだ。<PBR>
 出来損ないだと、直接にではなく告げてくる無慈悲なことば。<PBR>
 安易かとは思った。<PBR>
 逃亡先を母の故郷に選んだことは、確かに安直だったろう。それでも、母方の親族に接触することなくこの国で暮らそうとしたことは、それほど愚かな策ではないと思えたのだ。<PBR>
 事実、五年、逃げ切ったではないか。<PBR>
 彼とは違い、東洋の血を色濃く受け継いだ僕は、ほんの少しばかり彫りが深いだけで、この国の人間として違和感なく溶け込めていた。<PBR>
 髪も瞳も、母と同じ黒。<PBR>
 ねっとりとした漆のような色を、僕はあまり好きではなかった。<PBR>
 彼のような美しさはなくても、あの国で違和感のない金の髪や麦の穂のような色に憧れたものだった。僕のこの髪の色は、一族にとっては異端の色でしかなかったからだ。<PBR>
 そう。<PBR>
 今僕を凝視している重鎮達の誰もが、金か麦の穂色の髪を持っているように、一族の中では僕だけが異端だったからだ。<PBR>
「もっとも、我々から逃げ切ることなどできることではないだろうが」<PBR>
 単に、逃げたことが愚かだと、そう告げてくる。<PBR>
 わかっていない。<PBR>
 ぐるぐると渦を巻くのは、心の奥底に長らく押し込めていた吐き気だった。<PBR>
 僕は、逃げなければならなかったのだ。<PBR>
 そう。<PBR>
 逃げなければ。<PBR>
「お前の身柄は引き取った。戻りなさい」<PBR>
 どこに? などと茶化すことはできなかった。<PBR>
「お前にはお前の役割がある」<PBR>
 カラーレンズの奥の薄いグレイの瞳が、僕から逸らされることはない。<PBR>
「スペアの僕に何の役割があるというのです」<PBR>
 スペアの上に出来損ないの僕に。<PBR>
 口角がひきつれるように持ち上がってゆくのがわかった。<PBR>
「捨て置いてくださって結構ですよ」<PBR>
 どこか別の国にでも逃げようか。それとも。<PBR>
「そうもいかないだろう」<PBR>
 言外にお前の思惑など問題ではないのだと匂わせて、別の重鎮が口を出す。<PBR>
「クリュヴェイエ公爵がお前の現状を知らないとでも?」<PBR>
 その名に全身が震えるのを必死で堪えた。それでも、血の気が引いて行くのが感じられる。ぐらりと視界が大きく揺れて、ただでさえ青暗い闇がひときわ深さを増した。<PBR>
 ああ−−−と、現象を理解する。<PBR>
 最近は、より正確に言えば、ここ五年ばかり起きることのなかった貧血だった。<PBR>
 あの頃は、すぐに貧血を起こして意識を失っていた。それもまた、スペアとして出来損ないの謗りを受ける原因ではあったのだ。<PBR>
 だれひとりとして、それがどのタイミングで起きているのかを理解してくれるものなどいはしなかった。<PBR>
 いや、ただひとりだけ。<PBR>
 貧血の原因である当のクリュヴェイエ公爵だけが、底意地悪く喉の奥で笑いを噛み殺しながら僕を見ていた。<PBR>
 伯父の、どこか彼に似た薄いグレイの瞳が、視界で揺れている。グレイの瞳の奥に、かすかな憐憫を感じたのは気のせいだろうか。<PBR>
 首を振る。<PBR>
 この貧血は心因性のものだ。<PBR>
 青く暗く狭まってゆこうとする視界を、必死に元に戻そうと努める。<PBR>
「わかりました」<PBR>
 かろうじて椅子から立ち上がった僕が一歩を踏み出したその時、<PBR>
「なにがわかったというのかな?」<PBR>
 涼やかな中に毒を混じえた声が耳を射った。<PBR>
 錯覚ではなく、射たれたとそう思った。<PBR>
 ホテルの上等なカーペットの上に踏み出した足がバランスを崩したのを他人事のように感じていた。<PBR>
 とっさに伸ばした手で重厚な椅子の肘掛を掴む。<PBR>
 息が荒くなった。<PBR>
 苦しい。<PBR>
 ダメだ。<PBR>
 このままでは、捕まってしまう。<PBR>
 せっかく逃げたのに。<PBR>
 平穏な毎日を送っていたのに。<PBR>
 誰か。<PBR>
 誰か。<PBR>
 誰か。<PBR>
 救済を乞う声にならない叫びが、荒ぶる鼓動にリンクする。<PBR>
 けれど、誰が僕を助けるだろう。<PBR>
 鼓動と脈動とがからだを震わせる。<PBR>
 この五年、誰とも深く関わってはこなかった。<PBR>
 振り返ることさえも恐ろしかった。<PBR>
 それは、すぐに逃げ出すことができるようにとの配慮であったのか、それとも、こうして捕まることがわかってのことであったのか。<PBR>
 いつの間にか溢れ出していた冷や汗が瞼を濡らし、目を痛めつけてくる。<PBR>
 そんな視線の先に、彼がいる。<PBR>
 僕の顎をきつく掴んで、自分の視線に無理矢理に合わさせる。<PBR>
 首が痛い。<PBR>
「いつまでそんなぶざまなさまを晒している」<PBR>
 この私の弟ともあろうものが。<PBR>
 頬を張るような鋭い叱責に、涙がこみ上げてくる。<PBR>
 ああ本当にぶざまきわまりない−−−と。<PBR>
 引きずり上げるようにして僕を立たせた彼の、ほんの少しだけ乱れた淡い金色の髪の間から覗く薄いブルーグレイの眼差しが、凝視してくる。<PBR>
 端麗なと表現するも烏滸がましい美貌がそこにはあった。<PBR>
 犯しがたい威厳を放ちながらそこに存在する彼が、なぜ僕の兄なのか。<PBR>
 形良い鼻梁の下、薄いそのくちびるが、皮肉げな冷笑を刻んでいた。<PBR>
 誰が彼と僕とが双子の兄弟だと思うだろう。同じ歳だというのに、彼はすでに完成された貫禄を身につけている。外見だけではなく、内面からにじみ出るものまでもが、立派な支配者のものだ。それなのに、僕はといえば、二十五歳に見られることさえ少ない。そう、この島国にあってさえ、僕は幼く見られてしまうのだ。<PBR> 
 再び顎を持ち上げられ、<PBR>
「窶れたな」<PBR>
 言われて、顔を背けた。<PBR>
 嘲笑じみたそのことばに湧き上がってくるのは、羞恥以外のなにものでもない。<PBR>
 窶れた。<PBR>
「………」<PBR>
 反論もできなかった。<PBR>
 留学先の大学を勝手に退学して姿をくらませた僕は偽名を使ったために不法滞在者となった。そんな僕に出来る仕事はアルバイトくらいなものだったからだ。それも夜の仕事、接客は性格上無理だったため裏方だった。華やかな脂粉にまみれた虚飾の世界の陰の中でただ毎日を過ごしていた。<PBR>
 それでも、<PBR>
「離せ」<PBR>
 僕だとてもう子供ではない。<PBR>
 自分の力だけで生きてきたのだ。<PBR>
 密入国者が働いている店と摘発され、僕もまた不法滞在者として収監された。<PBR>
 できればこの国にいたかった。だから特別滞留許可を得ようとしたのが、仇になったのだろう。なぜ、本来二重国籍保持者であったのに、国籍選択の期限である二十二歳までに日本の国籍を得なかったのかと質問されても、答えようがなかったのだ。<PBR>
 国籍を得て、戸籍を持った途端、兄に見つかるのは火を見るよりも明らかだった。<PBR>
 今、現在のように。<PBR>
「まったく。なんとも嘆かわしい。この私の弟が、不法滞在者などという不名誉な犯罪を犯すとは」<PBR>
 涼しい表情で僕を否定しながら顎を握る手には力が込められてゆく。<PBR>
 砕かれそうな痛みに、眉をしかめる僕に、<PBR>
「奏、お前はこの私の、クリュヴェイエ公爵の実の弟であるという誇りを忘れたのか」<PBR>
と、糾弾の手を緩めない。<PBR>
 けれど、僕にはそんな誇りなどない。<PBR>
 僕の誇りは、十年前、この兄によって粉々に砕かれたのだから。<PBR>
「僕は、もう、クリュヴェイエのものじゃない」<PBR>
 者なのか、物なのかもあやふやに叫ぶ。<PBR>
「それは、あんただって知っているだろう! あんたが、あんなことを僕に強いなければ、僕だって、まだクリュヴェイエの名に誇りを持てただろうけど………」<PBR>
 十年前からの五年間が、どれだけ僕の誇りを粉々に打砕き続けたのか、この兄が知らないわけがない。<PBR>
 一族の重鎮たちが雁首を揃えていることさえ忘れて、僕は叫んでいた。<PBR>
 ぶざまだろうとなんだろうと、かまいはしない。<PBR>
「そんな名前なんか、捨てた! とっくの昔に! だから、あんたは、もう僕にとって」<PBR>
 喉が破れても構わない、と、できる限りの大声で叫んだせいでおかしなところで息が切れたけれど、<PBR>
 「赤の他人なんだ」と続けようとしたその刹那に頬に弾けたその衝撃に、部屋の空気が凝りつくよりも先に、<PBR>
「だまれ」<PBR>
 似つかわしくないひび割れたような声だった。<PBR>
 張られた頬の痛みさえ忘れるほどの、豹変だった。<PBR>
 十年前のあの出来事が脳裏にフラッシュバックする。<PBR>
 あの悪夢の五年間が、僕の動きを呪縛しようとする。<PBR>
「お前は私の物だ」<PBR>
 野蛮な劣情をはらんだ野獣の唸りのような声が、呪縛を解く。<PBR>
 踵を返した僕の足を、兄が払った。<PBR>
 まろんだ僕をひっくり返し両肩を絨毯に押さえつけ、猛々しいくちづけを落としてきた。<PBR>
 もがく僕の手を取ってくれる存在は、だれひとりとして現れず、僕はその場で十年前の再現のように双子の兄の暴虐に曝されたのだ。<PBR>
<PBR>
<PBR>
<PBR>
 ***** <PBR>
<PBR>
<PBR>
<PBR>
 兄の劣情をこの身に打ち込まれ、とめどない白濁を注がれつづけた。<PBR>
 重鎮たちのだれひとりとしてその場を動くことはなかった。<PBR>
 兄による弟への蛮行を認めるかのごとき空気がその場にあった。<PBR>
 なぜ。<PBR>
 僕はただの出来損ないで、クリュヴェイエには必要のない存在であるだろうに。<PBR>
 痛くて熱くて苦しいばかりの兄の熱に犯されつづける。<PBR>
 そんな僕の白くかすんだ視界に映る、重鎮たちの見えるはずのない影が、異形の形を取って見えた。<PBR>
 そうして兄が僕から身を離したとき、<PBR>
「確かに」<PBR>
と、誰かの声が聞こえた。<PBR>
「クリュヴェイエの血を確認いたしました」<PBR>
と、誰かがつづける。<PBR>
 これで名実ともにアンブロワーズ・響(ひびき)・クリュヴェイエがクリュヴェイエ公爵の当主であると承認いたしました−−−と。<PBR>
<PBR>
 アンブロワーズがクリュヴェイエでありつづけるために、テオドール・奏はアンブロワーズの受け皿となるのだと。<PBR>
<PBR>
<PBR>
<PBR>
「二度と逃げることは許さない」<PBR>
 兄の満足げな声が耳元で聞こえたとき、<PBR>
『逃げるなら、一生逃げ切れるようにするべきだ』<PBR>
 伯父の言葉が脳裏にこだました。<PBR>
 とある拙作を換骨奪胎しようとぐるぐるしてましたら、くるくると三つくらい新しい話が湧き出ました。
 いや、今新作を増やしてる場合じゃないんだよ〜。いえ、換骨奪胎〜とか思ってる段階で怪しいんですが。短編が一本ほしかっただけなんよ。どれも短編になりそうにない。
 ぐるぐるしてたのは、時代劇を書こう! と一頃萌えてた頃に書いてた短編。「花菖蒲」とは別のやつですが。あれを洋風異世界バージョンに焼き直ししたらどうなるかなぁと。短編にできないか? とぐるぐる回してたんですね。前々からいじっては挫折してたんですが、懲りもせず。
 で、「転生」の換骨奪胎まで湧いてしまった。
 なんというか、このみっつに共通するのは”魔王”が登場すること。
 お題が「魔王」でも良さげだよ。
 魔王三部作って、連作にもならないですが。
 一個は、復讐譚。
 あと一個は、「転生」のノーマルバージョン。これ書くとしたら絡みがヘビーすぎて絶対書けない。書けない自信はあるな。
 そんな感じ。

 ともあれ、一頃スランプで、二進も三進もいかなくて別サイトを立ち上げてみたりしてあがいてたんですが、ようやく脱出かなぁ? まぁラストまでかけないと意味ないんですけどね。

 お話し書けない自分ってどうにも無意味としか思えなくって、あがいたあがいた。
 書いたからってどうということないんだけどね〜。でも、これないと私じゃないxx なんかなぁ。しがみついてるな。
 
とにかく痛い。
 じみに痛い。
 もうね〜病院行きたくない一心で我慢してます。左手首。
  一昨日からとあるコミックスに胸を詰まらせておりました苦しすぎて眠れませんでした。ううむ。
 そんなこんなで煮詰まってたので、気分転換にちょっとした話を書いてたのですが、未だ二人が出会いませんorz
 なぜだ?
 すっかり中、長編に染まりつつあるのだろうか。
 サクッと短い話が書きたい今日この頃でした。
とりあえず。
 ほとんど見切り発車。
 というか、あまりに頭の中で転がしすぎて元の主題がどっかに行ってしまった話。
 というわけで、一応テーマは下克上なんだけど、その道筋は決まってるんだけど、諸々の飛び石が不明になってしまっているというぐだぐだな話。

 元々は文章練習用に『貴』シリーズにある『わたしの愛しいピアニスト』を書きなおそうと思ってたもの。
 だからピアノがキーワードでまだ残っている。

 自分の文章があまりに下手くそすぎることに気づいた挙句「うわ〜下手だ〜」と転がりまわりたくなったので、練習だ! と文章を丁寧に、情景描写を手抜きしないを合言葉に。が、描写はやはり手抜きがちだなというのが反省点。文章は自分では丁寧に書いてるとは思うのだけど、こればかりは第三者さんの感想がわからないので、謎。

 投稿先とサブタイトルが違うのは、なんとなく。
 秋が来るとなぜか「G線上のアリア」がぐるぐるしちゃうのでいっそこれをイメージしてという名残で、同曲の本来の題らしい"AIR"をメインタイトルにはしたんだけどね。このサブタイトルはその昔、なぜかシェイクスピアのソネットのワンフレーズを間違って覚えてたのをそのまま使ってみることに。だからその通りに話がなるかどうかは、非常に微妙だったりするんですが。

 そんな話。


 昨日の写真にいなかったインコ。ニノです。男の子♪ ジュウゴに虐められてたので、工藤に溺愛されてました。工藤に一番懐いてたのは、サンゴでしたけどねvv


 こちらも老衰で儚くなった、愛犬もみじさんと、インコズ。
 仲良く遊んでます。決して襲ってないんですよ〜。
 サンゴ(飛んでる子)とジュウゴ(掃き出し窓にいる子)とテン(灰色くん)です。ニノっちだけ写ってないんですよね〜♪


 以前飼ってた真っ白ニャンコのロイくんです♪
 白血病で儚くなりました。
 完璧アルビノのハンサムくんでしたが、まっちろにゃんこがそうであるように、なかなか人慣れしない子でしたね〜。
 工藤の溺愛受けまくりでしたけど。
 死んで何年も経つけど未だ工藤の溺愛を受けてる真っ白くんです。


 ただ今風邪っぴきちゅうです。
 でも、DVDは見れるていどですが。
 熱と喉と鼻をやられて、呼吸が辛い。
 でも、「黒執事」ラストまで。
 セバスチャンがやらしいなぁvv
 ラストの興行のはなし〜なんか混乱。いや、オマケ的なんか。それとも、皆さん死んでてあの世ってパターンもアリですが。ま、ないだろうなぁ。わかってるけどね。だって、第二部あるみたいだし。それも借りてみようかな。ふむ。


 雑記ばかりが増えてゆく今日この頃。
 我が家に来たばかりのダイゴん。
 今と比べると……サギだxx
  あまりに放置が続いてしまったので、またもやパスやらIDやらを混乱。


ここに来て画像をアップしよとするたびに、機械音痴度を痛感。わからんxx 以前には成功したんだけど、どうやったかなぁ。

こんな感じでしょうか。
我が家に来るいたちくん。
大阪では益獣として保護されてるようですが。ここら辺では害獣認定。でも、この子がいるから、我が家の庭にいたネズミは駆逐されたと思われます。
鳥と猫とイタチとが、我が家の餌場の覇権を争っている毎日です。

震災に遭われた方達のいろんな感情を圧し殺しての整然とした態度に頭が下がる工藤です。自分が同じ環境に置かれた時に、同様の抑制した態度に出られるかと言うと、すっごく不安です。喚き散らして泣いてそうです。
一刻も早く、皆様が少しでも良い環境に移れますように。
いずれ、南海大地震が起こるだろうと予測されている土地柄なので、他人事ではないです。
しかし。
それでも。
やっぱりどこかで、エゴイズムが出てしまうのが、反省点です。
  呑まれるんじゃねぇ!
 
 と、声を大にして言いたいです。
 
 今日はチビットだけだけど仕事がいつもより早めに終わったので、頭の中で『呼ぶ声』をころがしながらいい気分で帰っていたら。
 
 突然の渋滞。というか、なんというか。ここまで帰ったら後半分くらいだよね~という距離で突然のストップ。
 よく道路工事をする道なので、ふむ。また夜間工事でも始めたのかな~と最初は軽い気持ちで待っていたのですが。
 延々10分。
 動く気配がない。
 何事~?
 交通整理してくれてるひとが、走り出して、ナニがどうなってるのか。
 開けてた窓から、警察~という声。
 もしや、事故か…。
 前も後ろも車が詰まってるのでUターンも無理だしなぁ。
 この辺の脇道良く知らんし。
 と、交通整理してくれてる民間だろう人(よく工事中の交通整理してる人の服装だったんだけどね。駆り出されたのだろうか。御愁傷様というか、ご苦労様。)が、
 
「この先で酒に酔った人が道路から動かない。警察を呼んだんだけど~」
 
 よく知らない道で、脇道に。
 だって、ねぇ。今更引き返したくない。
 夜道でわけ判らん山道を延々走る。
 やっと、わかる道に出ましたが。
 うわ~めちゃくちゃ引き返してる。
 がっくし項垂れてしかたなくその道を走ってると~今度は、雨が降り出した。
 泣きっ面に蜂。
 ううううう。
 
 一体どんな酔っぱらい。
 
 くれぐれも酒は呑んでも飲まれるな! はい。呑んだら家から出ちゃ駄目ですよ~vv と、めちゃくちゃ言うなぁvv 基本呑まないからね〜。呑めるんですが、呑まないのでvv
 
IMG_0358.jpgこのごろ栗の花が満開です。
匂いに関しては、工藤はタケノコを剥いたばかりの匂いと感じるのですが〜。どうにも、精液の匂いとか。
まぁ、調べてみましたら、匂いの成分的に同じ物質が含まれているらしいと。
そりゃあしかたないか。どちらも子孫を残すためのものだと考えれば、それもありでしょう。
でもって、この栗の花。長い房状の花は、雄花だそうで、雌花はちっこいのだそうです。

ちなみに、栗の花にも花言葉がありまして、
「公平・豪華・満足・真心・豪奢」なんだそうです。

匂い関係で、我が家の玄関先にはジャスミンが花盛りで夜などよくかおっておりますが。
その匂いの成分が、大便と同じときいた日には、ちょっと萎えてしまいます。
たくさんたくさん匂いを薄めてゆくと、あんなにいい匂いになるんですねぇ。
香水の元って話を聞いたことはありましたが、そうなのかぁ。
となると、昔よく言われてた、「田舎の香水」っていうのも、あながちvv

ところで、このブログ使ってるといつもスクリプトエラーが出て大変な状況になるんですよね。しかも、説明がきちんと表示されないから、焦ってしまう。これは、私のパソコンのせいなのかなぁ。
強制終了かけちゃったじゃないですかxx


  とりあえず、見てみました。
見ながら『ドツボ』のテキストを開いてましたが。
チョコチョコ書いてるのですけどね。詰まってます。
昔から盛り上げるのが下手だからなぁ。
自覚はあるんですよ。
緩急自在な文章を書ける人がうらやましい。

と、DVDは、移民と強制送還と自分の発見でしょうか?
静かな映画で面白いんですが、もう少し何かが欲しかった。
エンターティンメントじゃないからしかたないのかな。問題定義の映画ですよね。
9.11後のニューヨークのムスリム系の移民に対する締めつけ政策みたいのが主眼かなぁ。違うか。
色々と考えさせられます。
  言論統制するつもりかねぇ。そう言うことするより他にやることあるだろうに。

ま、まぁねぇ、過激な描写は多いですが。
ボーイズラブとかって名指しですかxx でもなぁ、たしか大阪もコミックマーケットとか開催してたような。違ったっけ?
実害あるのかなぁ。
ペドよりは少ない気もするが。
なんと言ってもボーイズラブを楽しんでるのは基本女性だし。
過激な性描写はたしかに、まぁ、年齢がなぁとは思わないでもないですが。
性描写を初めて読んだのって、小学校のときだったなぁ。ドキドキしたけど別にいやらしいとか思わなかったが。ま、『風と木の詩』でしたけどね。いや、『変奏曲』が先かなぁ?
ともあれ、表現の自由を規正するのはどうかと思いますよ。うん。
  寒いけどね。
ちょ〜っと画像が荒いですが、ご容赦。


cherryblossom.jpg出先で見つけた咲き初めの桜。
おそらくは、ソメイヨシノ。












magnoria.jpg我が家の玉蘭。























IMG_0001.JPG我が家の茶々丸。













IMG_0007.JPG工藤の溺愛を一新に受けてたロイ。
今はお星さまです。















  なかなか短く完結する話をアップできないので、テンプレートを替えてみました。
一目惚れしたのでした。はい。
お話は書くつもり満々で、夢にまで見るのですが。どこまで書けるかが問題だ〜。
 こちらに、小説の後書きなどをまとめたいな。
 ちょっと前から頭の中にあったんですけどね。
 これなら、カテゴリーが分かれるから、あとがきとして使いつつ日記としても使いやすいかな~と。
 挑戦してみようvv
 少しずつ、あとがきという名の言い訳を付け足してゆこうともくろんでおります。
| HOME |
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
フリーエリア
最新コメント
[09/14 水無月]
[09/09 NONAME]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
工藤るう子
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
最古記事
(11/29)
(12/01)
(12/01)
(12/01)
(12/02)
(12/02)
(12/02)
(12/12)
(12/12)
(12/12)
(12/12)
(12/15)
(12/15)
(12/15)
(12/15)
(12/15)
(12/15)
(01/31)
(01/31)
(01/31)
(01/31)
(01/31)
(02/01)
(02/01)
(02/01)
P R
Powered by Ninja Blog Photo by COQU118 Template by CHELLCY / 忍者ブログ / [PR]