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小説の後書きとかいい訳とか。あとは雑記。
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  サイトに更新するほどの量にはならなかったのですが、一応書けたので、こちらにアップしておきます。少しでも楽しんでもらえると嬉しいのですが。

*****
「おや」
知り合ったばかりの女性に軽く手を振って別れたクリスは、ホールのソファに腰をかけているエンリケに気づいた。

「禁煙ですよ」
と、タバコを取り上げる。

「クリスさん」
「おまえさんがタバコとアルコールとは珍しいと思ったが、火もついてないタバコとはね」

全部貰っていいよな?


テーブルの上、琥珀の液体の残るグラスの横、パッケージとライターをスラックスのポケットにねじ込む。
エンリケの目の前にどさりと腰を下ろして、奪った煙草をそのままくわえた。
クリスが指を鳴らすと制服姿のボーイがやってくる。
「お客様お煙草はお控えください」

「火はつけないつけない」

にやけてコーヒーを注文する。
ひらひらと手を振って、ボーイを見送る。

「なにがあった?」

エンリケの黒い瞳を、よく似た黒い瞳が覗き込んだ。

「べつになにも」
「ってツラじゃないだろ」

いつもすかしてるお前とは思えないよな。

「原因は、弟クン……か」

運ばれて来たコーヒーを一口飲んで、クリスが一人語散た。

ぼんやりと何かを堪えているかのように見える虚ろな一対のまなざしが、宙をさまよう。


「惚れた…………か?」
かすかなまなざしの揺らぎに、クリスは答えを知る。
「堅物ってぇ噂のあんたがねぇ。まぁ、親父殿も堅物だしな。弟クンは、そういうのに惚れられるタイプなのかねぇ」
溜め息が漏れる。
「切ないね」
確かにタバコとアルコールでもなけりゃあ、やりきれないか。

「クリスさん」

「どうした。突然あらたまって」
「お願いがあります」

「はは。怖いね」

頭を下げるエンリケに、クリスがおどける。
「私はもう、おそらく彼には近づけないでしょうから」

けれど。
あなたなら、ボスもそう嫌いはしないでしょう。

「とは言われてもねぇ………」

火のついていないタバコがクリスのくちびるの間で上下に揺れる。
父親たちが泊まっている部屋のドアの前で、クリスは肩を竦めた。

ホールには専用のコンシェルジュがデスクについて、用事を申し付けられるのを待っている。
その視線を感じながら、クリスはドアを開けた。
玄関を模したような小さな部屋が現れ、その奥に、広いリビングが広がる。豪華な飾り付けのゆったりとした空間のどのドアを開ければ、湊がいる寝室があるのかあらかじめ教えられていた。


「大丈夫……じゃないよなぁ」
嘯くような声に聞き覚えがある。
そう思ったものの、湊は、動かない。

今の自分の格好は、見られたものではないだろう意識はある。しかし、少しでも動こうものなら、おそらくは、今も自分を苛み続けている忌まわしい器具の存在を他人に知られてしまうだろう。
なぜこんなものを。

 それ以前に、どうして、あんなことを。
あの男の機嫌を量るのが難しいことは骨身に沁みてはいるものの、まさか、人前でされるだなど、考えたこともなかった。
エンリケの目がそらされることもなく、自分に向けられていた。


ひとに見せる行為じゃない。見られて嬉しいはずもない。なのに、あの男は、自分が泣き叫びながら無理矢理イかされ、あの男を受け入れる所を、さいごまで、エンリケに見させたのだ。
何が原因だったのだろう。


わからない。


わかるはずがないのだ。
あの男が考えることなど。

ピアスをつけさえすれば外に出してもらえると、あんなに我慢したというのに。

耳の痛みも、まだ苛まれている箇所の痛みも、じくじくと疼く。

「おい。湊……だったよな? このままじゃ風邪を引くぞ」


この声の主が誰だったか。

ああ。

クリスとかいったはずだ。

義理の兄という続柄になる相手を思い出す。
出会い頭の最低な挨拶にからだがこわばり、痛みが走った。そのはずみに無機物に苛まれている箇所が、脈動を激しく刻む。
「起きれるか?」
目が覚めているのは、知られているらしい。

それでも、従う気にはなれなかった。

どうしてなれるだろう。
クリスは、あの男の息子だというのに。

そうだろう?

 あんな男のこどもなのだ。

それに、クリス自身、オレにあんなことをしでかしたのだ。
あのおかげで、オレはあの後また、酷い目にあった。

何くれとなくいちゃもんをつけてオレをいじめることがあの男のストレス解消なのじゃないかと思えば、クリスとは関わらないほうがいいに決まっている。

放っておいてほしかった。
動くことを考えるだけで、ぞっとする。

「放っておいてくれ」
やっとの思いで言ったのに、

「クーラーも効いている。サマーセーターを羽織ってるだけでは風邪を引くぞ」

そう言って、クリスが肩に手をかけ引っ張った。

「ひっ」

体内の異物が角度を変える。

痛い。
痛くてたまらない。

出したい。

出してしまいたい。

けど、出したりしたら、怒られる。
怒られるのだ。


気絶寸前の朦朧となった意識の中で、


『私が戻るまで出すんじゃない』

出したりしたら、酷いぞ。

そんな風に言われたような気がする。
泥の中に埋まったような、怠くてたまらない全身を、クリスに引き起こされて、湊は、脂汗を流した。


「そら。バスを使うといい。換えの服がないなら、コンシェルジュに買って来てもらおう」

Tシャツとジーンズでいいだろう。


親父さんの趣味はフォーマルすぎるからなぁ。
「くぅっ」


抱え上げられて、異物が動く。

出したい。
痛い。
出してしまいたい。
けど、ザカリアスも怖い。
どうすればいいのか、わからなくなっていた。
「じっくりあたたまるんだぞ。夏の風邪は長引くし辛いからな」

大理石のバスタブにからだが沈んでゆく。
クリスがバスルームを出てゆくのを見るともなく見やりながら、湊は、からだのこわばりがほぐれてゆくのを感じていた。
しかし。
からだの奥から器具がおりてくるような気配に、鳥肌が立つ。
駄目だ。
泣きたい気分で、湊が力をいれる。


刹那に走った痛みに、バスタブの中で足が引き連れるように震え、滑った。

悲鳴を上げる間もなく、気がつけば湯の中でから天井が揺れるのを見上げていた。

遅まきに伸ばした手が、浴槽の縁にとどかない。

焦りが激しくなり、息が苦しくなる。
足が滑る。
どこが浴槽の縁なのか。

ただ闇雲に暴れて、自分がパニックを起こしていることにすら、湊は気づいていていなかった。

「何をやっている。バスタブで溺れ死ぬ気か」
固くこわばりついた声は、一番聞きたくない声だった。

***** とまぁ、こんな感じ。クリスくんのキャラクターが……ベランメェ調の江戸っ子イメージに変わった気がしてなりません。いえ、単なるイメージで、江戸っ子がこういうタイプかどうかは、知りません。おせっかい焼きの下町の兄ちゃん風? ま、まぁ、いいけどね。まだクリスのキャラが固まってない証拠だなぁ。

湊クン、相変わらず酷い目にあってます。な、何を入れられてるんですかぁ……と慌てつつ、ギャグにしか思えないでいるるう子なんですが。シリアスに感じてもらえるかな? 不安です。
 個人的には、その辺にあった文具用品を使われてるような気がしないでもないのですが。いや、ほら、そう言うものを常日頃おじさんが持ち歩いてるって方が気味悪い気がしますよね。ただ、ホテルの寝室に、そうころころと文具用品が転がっているのかどうかという疑問が。う~む。きっとなにかがあったんでしょう。ここシリアスに考えちゃ駄目ですよ。いや、話としては考えないと駄目でしょうが。読む方は気楽に読み飛ばしてください。危ない内容ですからねぇ、ここって。
 やはり、リアルに名前を出すことにはばかりのあるるう子なのですが。何をされているのかは、理解して頂けてますよね? 不安だなぁ
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